(物語)
本作の原作となった『シンパティコ』は、1994年11月14日、ニューヨークのパブリック・シアターで初演された3幕劇。
初演の配役は、カーターにエド・ハリス、ウェッブにフレッド・ウォード、ロージーにビヴァリー・ダンジェロ、シムズにジェームズ・ギャモンという豪華な顔ぶれで、演出はサム・シェパード自身がつとめた。
カーターが売りに出そうとしている三冠馬の名前にタイトルをちなんだこの芝居は、人生を競馬同様のレースとみなしたがために自己崩壊に追い込まれる主人公の3人と、彼らの手で人生レースから脱落させられたがゆえに本来の自分を発見できたシムズとの対比を通して、人生の真の意味をみつめている。
ここで描かれる競馬は世界全体のメタファーであり、これをビジネスではなく「王者のスポーツ」と呼ぶシムズのイノセンスが、失われた西部的価値観として提示されるところに、シェパード劇らしい特徴が感じられる。また、社会的に正反対の立場にあるカーターとウェッブが、ひとりの人間の二面性を象徴している点には、マシュー・ワーカスの演出で評判を呼んだ『トゥルー・ウェスト』との類似性も見られる。