(物語)
その定期旅客宇宙船には、一風変わった客が乗っていた。
逮捕された殺人犯リディック(ヴィン・ディーゼル)と、彼を護送する刑事ジョンズ(コール・ハウザー)である。たとえ護送犯だろうと、冷凍睡眠に入っている以上は逃げ出す術などないはずだった。宇宙船がありえない事故を起こし、惑星に不時着するような羽目にならなければ。
不時着時に乗組員、旅客の多くは死亡した。生き残ったのはリディックとジョンズ、気弱な副操縦士フライ(ラダ・ミッチェル)、イマム(キース・デイヴィッド)率いる謎めいたイスラム教徒の巡礼者たち、家出少年ジャック、地質学者のジークとシャザ夫婦、それに自分勝手な骨董商のパリス(ルイス・フィッツジェラルド)である。
立場上、リーダーとなったフライだが、実は不時着時に乗客を切り捨てて助かろうとしたことが負い目になっている。三つの太陽のまわりをめぐり、つねに昼である砂漠の惑星で、彼らは協力して脱出の道を探ることになる。手分けして水と修理機材を探すうち、一行はかつて鉱山会社が設けていた基地を発見する。だが、基地に人影はまったくなく、唯一残った小型宇宙船も放棄されていた。この宇宙船を修理すれば、惑星から脱出できるかもしれない。
だが、基地から人が消えた理由はまったくわからないままだった。
ジークはひょんなことから洞窟を発見した。中を見ようと顔を突っ込んだとたん、中に引きずりこまれてしまう。フライは命綱をつけ、ジークが引きずり込まれた穴に潜った。洞窟の奥底、明かりも届かない闇の奧にあったのは内臓を抉りだされ、食いつくされたジークの死体だった。
闇の中には人を食う未知の生命体が潜んでいる!そしてフライに襲いかかる未知の生命体たち。だが、間一髪、フライは穴から引きずり出された。未知の生命体は外には出てこない。暗闇に適応した生物は、光を浴びると火傷して死んでしまうのだ。
どうやら基地を襲ったのも同じ未知の生命体らしかった。だが、なぜ住人は宇宙船を残して消えてしまったのか。基地の中の部屋で、フライとリディックは三つの太陽の運行を見せる惑星模型を見つける。動かしているうちに、思いがけぬ事実がわかった。三つの太陽は22年に一度直列し、そのときいつも昼である惑星に完全な夜が訪れるのだ。夜はあの未知の生命体たちのものである。基地にいた男たちは、22年前の夜に未知の生命体に襲われて全滅したのだ。
そして、22年目の夜は間近に迫っていた。手術によって夜目がきき、宇宙船の操縦もできるリディックは、船を修理して飛ばすためには必要な人間だった。ジョンズの反対を押し切り、フライはリディックの戒めを解き、船まで行くための協力を約束させる。
だが、逃亡した殺人犯を本当に信用できるのか?
やがて三つの太陽が重なるとき、闇が惑星をつつむ。
真の暗闇(ピッチブラック)の中で、光を見つけられるのは誰なのか…。