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折り梅
2002年3月16日公開
上映時間111分
2001/日本/パンドラ/シネマ・ワーク
(写真をクリックすると拡大します)
折り梅
(C)ESSEN COMMUNICATIONS INC.
製作・監督・脚本 松井久子
原作 小菅もと子
(「忘れても、しあわせ」日本評論社刊)
脚本 松井久子・白鳥あかね
エグゼクティブ・プロデューサー 福島昭英
プロデューサー 新藤次郎・里中哲夫
アソシエイト・プロデューサー 吉井久美子
音楽 川崎真弘
撮影 川上皓市
  
(出 演)
原田美枝子
吉行和子
トミーズ雅
田野あさみ
三宅零治
加藤登紀子
金井克子
乾 貴美子
 
ありのままを受け入れよう・・・
それが家族の絆になった。
そして私の世界も広がっていった。
<STORY
 名古屋郊外のベッドタウン・愛知県豊明市。サラリーマンの夫・菅野裕三とパート勤めの主婦・巴、生意気になり始めた中学生のみずほと、育ち盛りの小学生・俊介の4人家族に、裕三の母・政子が同居することになった。
ところが同居して間もなく、政子が変調をきたし始める。雑巾を縫っては、それを忘れてしまい、毎朝、巴に雑巾を何枚も渡す。ゴミ袋の集積所を見分けられず、他家の玄関先に置く。かと思うと、突然、激しい感情に見舞われ、巴が政子のために作ったお弁当を床にぶちまける。 この急激な変貌に、周囲は戸惑い、苛立ち、家族の団欒はあっけなく崩れていく。
思いあまった巴は、嫌がる政子を無理矢理、病院に連れていき、そこで義母がアルツハイマー型痴呆症に冒されていることを知る。

 どうしてもパートを続けたい巴は、ヘルパーを雇い、この事態を乗り切ろうとしたが、ことはそう簡単にいかない。裕三も理解がなく、夫婦の仲もぎくしゃくして、口を開けば言い争いだ。
しかし、誰よりも傷つき、苦しんでいたのは、政子自身だった。痴呆という先の見えないトンネルに迷い込み、自分を見失うのではないかという漠然とした恐怖や、やり場のない苛立ちを、彼女は巴にぶつけていたのだった・・・。
そんなある日、政子が突然いなくなる。巴は思い当たる場所を探し回った。降り出した雨が容赦なく彼女を濡らし、ようやく港で政子を発見したものの、巴は心身共に消耗しきって、寝込んでしまうのだった。「このままでは、家族が崩壊してしまう」。思いあぐねた裕三と巴は、政子を同じような症状のお年寄りが暮らすグループホームに入れることを、決意する。
入所前夜、巴は政子の部屋で寝ることにした。そんな巴に、政子は青春時代の思い出を楽しそうに語る。そして、同じ布団で寝たいと言うと、子供のように巴に抱きつき、安心しきって眠ってしまった。日毎に子供の頃の<記憶の世界>に帰って行くばかりの政子・・・。

 翌日、ホームに向う途中、巴は政子から、女手ひとつで4人の子供を育てた半生を聞かされる。幼い頃の母との別 れ、義父の暴力、夫の死。政子は母が自分に聞かせたことを遠い目をして語る。「梅は枝を折って活けても、皮から養分を吸って咲き続けるから<折り梅>と言うんだよ」

 巴は初めて義母を、ひとりの女性としてみつめなおした。たとえ痴呆に冒されても、人が人でなくなるわけではない。これまで自分は、政子を厄介者のように扱ってきたのではないだろうか。「もう一度やってみよう、おばあちゃんのあるがままを受け止めよう」。政子を叱らず、ゆったりと受け入れて相手をする巴を見て、裕三も何かと手助けをするようになった。
政子もすっかり落ち着いてきた。子どもたちも、大好きなおばあちゃんとの友好的な関係を築いてゆく。 一家にようやく笑顔が戻ってきた。そしてそれは、初めて本当の愛情と優しさで結ばれた、強固な家族の絆だった。

 やがて、政子は今まで眠っていた素晴らしい才能を見せ始める。それは、絵を描くことだった。ようやく安らぎを見出した心により、秘められた才能の扉が開いたのだ。自信を与えられたからだろうか、政子の才能はいっそう磨かれていった。
そして、ある日、それまでの一家の苦しみと努力がすべて報われるような素晴らしい出来事が起こる!!
  
原作:小菅もと子(「忘れても、しあわせ」日本評論社刊)
 小菅もと子さんは、映画と同じく愛知県豊明市の郊外に住む主婦。夫の母であるマサ子さんと同居後、マサ子さんの痴呆に戸惑い、悩みながら、マサ子さんの人生と本気で向き合っていった歳月を自ら綴ったのが、「忘れても、しあわせ」である。

 眠っていた絵の才能を開花させたマサ子さんの新たな人生を、家族一丸となって応援し、遂にマサ子さんの個展を開くまでに至った感動の実話は、多くの人々を驚かせ、痴呆になっても、周囲の愛情と理解がその人の人生を輝かすことができることを証明した。
 なお、この奇跡の実話は、もと子さんの著書が出版されるより前に、NHK-TVで「忘れてもしあわせ・痴ほうと向きあった家族再生の記録」というタイトルで紹介され、大反響を巻き起こした。
  
松井久子(製作・監督・脚本)
1946年、東京生まれ。早稲田大学演劇科卒業後、雑誌の編集者及びライターとして、「週刊平凡」「an・an」「クロワッサン」などに携わる。'79年、俳優のプロダクションである有限会社イフを設立。数多くの俳優のマネージャーを務めた。39歳のとき、テレビ番組の製作会社エッセン・コミュニケーションズを設立。テレビドラマ、ドキュメンタリー番組のプロデューサーとして活躍。'98年、企画から公開まで5年の歳月をかけて製作した『ユキエ』で映画監督デビューを果 たす。この作品で、日本映画製作者協会フィルムフェスティバル'97最優秀新人監督作品賞を始め、文化庁'98年度優秀映画作品賞など数多くの映画賞を受賞、その演出力が絶賛された。
 新作については、「『ユキエ』上映会で広がった日本全国のネットワークが、今回の『折り梅』製作へと繋がったように、今後の活動もこれから答えが出てくると思う。そういう意味で、次回作のことは全く考えていません。今はできるだけ多くの人に『折り梅』を観てもらいたい、ただそれだけです」と語っている。
    
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