(解説)
猟奇殺人ものの映画はタブーとされている韓国で、そのタブーに真っ向から挑戦した映画が「シュリ」を超える大ヒットを記録した。「カル」・・・韓国語で“刃物”を意味するこの映画は、センセーショナルなハード・ゴア・スリラーとして韓国映画史上最多の114館で公開され、初日2日間で歴代最多の55万人を動員する驚異的なメガヒットとなる。
刑事を演じたのは、主演作「シュリ」で日本でもブレイクした韓国のナンバーワン俳優、ハン・ソッキュ。出演作に外れなしとの神話をもち、「8月のクりスマス」や「接続」の成功もあいまって、今や韓国映画界を背負って立つ存在となった。どの作品に出演するのかは、シナリオの善し悪しと、その映画が韓国映画界においてどのような意味があるかを考えるという彼が「カル」に出演したのは、脚本の出来もさることながら、韓国映画のもつ可能性を拡げる意図があったような気がしてならない。通算8作目となる本作で、外れなしの神話に拍車をかけただけでなく、韓国映画界のタブーをも打ち破ったハン・ソッキュ。本作「カル」が彼のフィルモグラフィーの中でも特筆すべき作品になるのは間違いない。
事件の鍵を握るミステリアスな美女スヨンを演じるのは、「8月のクリスマス」の好演であらゆる賞を総なめにし、韓国でもっとも人気のある女優のひとりとなったシム・ウナ。自分に関わった人がつぎつぎと殺されていくのに怯える繊細な一面と、封印してしまった過去への追求を寄せ付けない冷たさをもつ難しい役を見事に演じきり、興行的にも演技力でも手堅いヒットメーカーとして“女版ハン・ソッキュ”と呼ばれるまでに成長した。今後も「美術館の隣の動物園」「イ・ジェスの乱」「インタビュー」と出演作が控えており、演技派美人女優としてのさらなるブレイクは必至である。
監督のチャン・ユニョンは、日本ではまだ馴染みがないが、弱冠33歳にして韓国ではすでに名が知られた存在。デビュ一作「接続」でいきなり80万人を動員し、97年度興行収入成績第
1位の記録を打ち立てたヒットメーカーだ。チャンにとって『カル」はまだ3作目だが、監督の安定した演出力、独創的なアイディアと完成度の高い脚本を高く買った大手映画会社シネマサービスより早々に22億ウォンの製作支援を受けている。
ちなみにチャン監督と主演のハン・ソッキュは、今韓国の映画やビジネスをリードしていると言われる386世代。30代で、80年代に大学に在籍し、60年代生まれの世代を指す言葉だが、幼少の頃から外国映画が身近にあり、欧米で教育を受ける人間も多く、従来の韓国映画のイメージを超えたスケールの大きい映画作りで韓国映画のイメージを変えた。マーケティングや戦略に強いのも特徴で、チャン監督もインターネットを巧みに使った宣伝で「カル」をメガヒットに導いている。
なお、今回のハン・ソッキュ最新作「カル」の上映を記念し、彼が「演技経歴の転換点になった」と語る1997年の主演作品「グリーン・フィッシュ」も同時公開となる。
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