(物語)
セバスチャン・ケイン(ケビン・べ一コン)は天才肌の科学者。33歳にして、国家最高機密に属する研究プロジェクトを率いている。
目標は人間を透明にすること。セバスチャンはすでに透明化する血清を発明、動物を透明にするところまでこぎつけていた。問題はいかに元に戻すかだ。
巨大な地下施設にはさまざまな実験動物が飼育され、7人のチームが、昼夜を問わずこの画期的研究に没頭している。セバスチャンの右腕ともいえる二人の科学者、リンダ(エリザベス・シュー)とマット(ジョシュ・ブローリン)をはじめ、獣医のサラ、コンピューターを扱うフランク、データ分析の専門家ジャニス、そしてテクニシャンのカーターら、いずれも若い優秀な研究員だ。
セバスチャン・ケインは自分の非凡さを意識している傲慢な男でもあった。かつて恋人だったリンダは、彼に心を残しながらも、研究と輝かしい栄誉しか頭にないセバスチャンと別れ、いまはマットと恋仲になっている。獣医のサラなど、自信家で冷たいセバスチャンに批判的な研究員もいるが、とりあえず、科学の進歩のためにみんな心を一つに取り組んでいた。
そんなある日、セバスチャンはついに復元する方法をつきとめた。深夜の召集。手術台に縛りつけられた透明なゴリラは、生態量子の転換に伴う苦悶の果てに、毛むくじゃらの巨体に戻った。ついに成功したのだ。
しかしセバスチャンは、プロジェクトの推進者である国防総省のクレイマー博士(ウィリアム・ディベイン)にも、この成果を報告しようとしない。報告すれば盗まれる。自分の手で世界を変えたいという野望を持っているのだ。とはいえ、早く結果を出さないと資金を打ち切られてしまう。自信家のセバスチャンは、リンダらの反対の声も聞かず、みずから人体実験の被験者になると言い出す。
激痛、心拍数と血圧の上昇、脳波の異常……あわや心臓停止の間際に、セバスチャンは透明人間第1号となり、18時間の睡眠の果てに目覚める。
最初は小さないたずらから始まった。眠っているサラの胸を触ったり、トイレに入っているジャニスを脅したり、リンダの飲み物を動かしたり……セバスチャンは人の目に見えない、何をするのも自由だという新しい特典に、徐々に魅入られていく。
「透明人間とメイクラブしない?」
「同じことよ。心がないもの」
口説かれたリンダは、危ういところで踏みとどまった。
3目後、セバスチャンは可視化の血清を注入されたが、ショック状態が大きく、元に戻れない。1週間、10日と時が経つ内、セバスチャンの苛立ちがつのってくる。透明であることが、彼の精神に影響を及ぼし始めたのだ。ある目、ゴムの仮面をかぶって無断で外出したセバスチャンは、いつも自分のアパートから覗き見ていた隣家の美女をレイプするという、犯罪行為に及ぶ。
セバスチャンを元に戻すために、解答を出そうと必死のリンダとマット。しかし天才科学者であるはずのセバスチャンは協力しようとしない。新しい力に酔い始めていたのだ。リンダは国防総省のクレイマーに報告するが、クレイマーは監視ビデオに細工して抜け出したセバスチャンに、自宅のプールで殺されてしまう。
神のごときこのパワーを手放したくない。通報されるとこれまで築いたキャリアが終ってしまう。狂ったセバスチャンは関係者の皆殺しにかかる。エレベーターを動かす登録コードは、セバスチャンに消去されてしまった。最高機密の地下研究所は、いまや広大な密室と化している。その中で、透明な天才科学者と、赤外線カメラを装着して彼を追う研究員たちの、血みどろの死闘が始まる。セバスチャンの姿を浮き上がらせるのは、火、煙、水、そして血…
…最後に生き残るのは誰か?