(物語)
雪の結晶よりも小さく、直線というものは存在せず、すべての物が曲線で構成されている幻想的な街フーヴィル。世界で最もクリスマスを愛し、クリスマスを過すのに相応しい場所。そこには自分たちを「フー」と呼ぶ善良な人々が住んでいる。
ひらひらと舞い下りた雪が、今年もフーヴィルにクリスマスがやって来た事を告げる。人々は街に出て、この時を今か今かと心待ちにしていた。祝福と喜びの時、鐘が鳴り響き、家々の窓は飾られ、楽隊が街の大通りをねり歩く。
父親ルー・フー(ビル・アーウィン)と娘のシンディ・ルー・フー(テイラー・マムセン)は家族と友人のためにクリスマスの贈り物を選んでいた。沢山の買い物をする父親を横目に、大人たちはなぜクリスマスにこれほど燃えるのか不思議だった。
ちょうどその頃、誰も近づかないクランベット山から下界の騒ぎを、潜望鏡で苦々しく眺めている者がいた。その名はグリンチ(ジム・キャリー)。全身を緑色の毛に覆われ、普通の人の1/2の大きさの心臓の持主で、好物はなぜかクリスマスに飲まれるエッグ・ノック。いたずら好きのひねくれ者だ。彼にはクリスマスを一緒に祝う家族も友人もなく、唯一の相棒である犬のマックスと洞穴に住んでいる。どうして、彼はグリンチなのか?それは誰にも分からない。ただ分かっているのはクリスマスを憎んでいる事。死ぬほど嫌いなクリスマスにいつかカタを付けてやると、心の中はメラメラと怨恨の炎を燃やしていた。
シンディの父親の勤めている郵便局の手伝いをしながら、シンディーは父親に毎年クリスマスになると噂になるグリンチの事を尋ねるが、"誰からもクリスマス・カードが送られて来ない変人"
としか話そうとはしない。そのことが一層シンディの好奇心をあおるのだ。
父親に頼まれて地下室におつかいに行ったシンディは、そこで変な人物に遭遇する。その緑色の毛むくじゃらの男は「グリンチ!」と叫んだ。びっくりしたシンディはあやまって集配機の中に落ちてしまう。小さな体が小包の山に埋もれてしまいそうな時、緑色の毛むくじゃらの手がシンディの腕を掴み、間一髪で救い上げた。グリンチが消えた後、シンディはグリンチが本当はいい人ではないだろうか?という思いを強く持つのだった。
シンディの母親ベティ・ルー・フー(モリー・シャノン)は今年もクリスマスのデコレーションに大わらわだ。彼女は隣りのタカビー女マーサ・メイ・フー(クリスティン・バランスキー)と毎年家の飾りつけを競っているが、今までのところ全戦全敗だ。今年こそ勝ってやると息巻いていた。シンディはそんな母親を見ながら、「グリンチ」の正体と「クリスマス」の本当の意味について考えていた。
シンディは問題を自分で解決することに決め、父親の中古のテープ・レコーダーを持って、グリンチについて調査を開始した。"グリンチって誰なの?"
"なぜ、彼はクリスマスが嫌いなの" "どうしてみんなグリンチを嫌うの?" フーヴィルの人々に探ね歩くが、答えは得られない。
やがてグリンチの子供時代を知っているという二人に辿り着いた。そして語られた驚くべき事実にシンディは、よけいにグリンチに会いたいという思いを募らせた。
クリスマス・イブの日、ライト・アップされた街の広場に大勢の人々を前にフーヴィルの市長、メイ・フー(ジェフリー・ダンボール)のスピーチが行われていた。今年はフーヴィルの記念すべき千年祭の年。人々の期待感が高まる中、名誉会長が選出されようとしていた。市長は内心、自分こそ名誉会長に選ばれるべきだと考えていた。その時、シンディが手を上げた、「グリンチを!」その名を聞いて、びっくりする人々。絶対に出してはいけない名前!市長は不満をあらわにするが、シンディは、フーヴィルの法典にある「見かけを問わずこの村はあらゆる人を温かく迎える」「村人の温かい心の表われとして名誉会長は温かい心を一番求めている人に――」を指摘した。市長は仕方なしにグリンチを連れてくることを条件に、彼を任命する事に同意した。
山の上を吹き渡る強い風、一歩足を滑らせるとこのまま谷底へおちる危険な山、クランビットの断崖をシンディはグリンチの住む暗い洞穴を目指し登り続け、ようやく辿り着いた。そして、グリンチに名誉会長の任命の招待状を渡す。グリンチは大笑いして取り合わないだけでなく、シンディを洞穴からフーヴィルに通じるトンネルに突き落とした。追い帰したものの、申し出に答えたい気持ちも少しはあった。スケジュール帳とにらめっこしながら、彼は行く決心をした。
突然飛び込んできたグリンチに街の人々は最初はビックリしていたが、暖かく迎える。クリスマス・プティングの早食い競争やバカバカしくも楽しいアトラクションが盛り上がる最中、突然起きたある出来事にグリンチは昔の記憶が甦り、その場で凍りついた。「俺はクリスマスが嫌いなのだ!」怒り狂ったグリンチはクリスマス・ツリーに火を付け、広場をメチャクチャにぶち壊し立ち去った。せっかくのイベントは台無しになり、誰もが失望して帰宅する。とりわけシンディの落ち込みようはひどかった。
洞穴に戻ったグリンチの怒りは頂点に達していた。もう我慢が出来ない!その時、彼はひらめいた。素晴しく悪いアイデアを。ほくそ笑みながら、サンタの衣装を縫い上げる、犬のマックスにトナカイの角をつける。ジェットエンジン付きの巨大なそりに乗りこみ、フーヴィルを目指し、山の斜面を急降下。グリンチの恐ろしい計画が今ここに始まろうとしていた…。