(解説)
1973年12月。全米で公開された『エクソシスト』は、少女リーガンに取り憑いた心霊現象をリアルに描きつつ、悪魔と神の戦いを“悪魔祓い”というオカルティズムで表現することで、世界中で大ヒットを記録した。日本でも配給収入28億5000万円
(現在の金額に換算すれば膨大な数字となる) を記録し、70年代の一大オカルト・ブームを巻き起こした。
本作は、1949年に実際に起きた“メリーランドの悪魔祓い事件”を基に、ウィリアム・ピーター・ブラッティが著した原作を、『フレンチ・コネクション』(71)でアカデミー最優秀監督賞を受賞したウィリアム・フリードキンが心霊現象を初めてリアルに描き話題になった。当時、劇場では観客はあまりの生々しさに、嘔吐したり、失神者が続出したという。
TVや新聞、雑誌などでも大々的に特集が組まれ、「全米で大ヒット! 上映館前は連日長い行列。物質文明への不安、都会生活の不満からか、恐いもの見たさで映画館を埋める人は後を絶たない」(朝日新聞)、「とにかく凄い。言語に絶する!」(週刊ポスト)、「全米では4時間並ぶのは当たりまえ、いまや大きな“社会問題”に発展」(週刊文春)など、決してオーバーではない見出しが様々な紙面を賑わした。まさに、社会現象にまでなったエポック・メイキングな作品であった。
その『エクソシスト』が今回、公開当時の技術では映像表現するのが難しかった描写や、不安感を与えすぎるといった理由でカットされたシーンなどが編集しなおされ、監督ウィリアム・フリードキンの手によって、『エクソシスト/ディレクターズ・カット版』として、新たに蘇ったのである。
これは98年に「東京国際ファンタスティック映画祭」で上映された単なるデジタル・リミックス版ではない。半ば伝説化した、“スパイダーウォーク(リーガンがブリッジして階段を駆け降りる不気味なシーン)”をさらに編集して挿入。また、ラストシーン等の未公開シーンをはじめ、細部に渡って恐怖シーンをふんだんに盛り込むことで、まったく新しい、恐怖に満ちた『エクソシスト』が誕生したわけである。もちろんサウンドも新たにデジタル・リミックスされ、以前にも増して恐怖度がアップしている。
監督のフリードキンは、『エクソシスト』の製作時、まだ34歳の若さだったが、適確で緻密な演出と大胆な映像表現によって、心霊現象をリアルに描くことに成功。原作・製作・脚本はウィリアム・ピーター・ブラッティ(後に自ら『エクソシスト3』(90)を監督)。主演は『アリスの恋』(74)でアカデミー賞を受賞したエレン・バースティン、『第七の封印』(57)、『処女の泉』(59)、『ヒマラヤ杉に降る雪』(00)等のイングマル・ベルイマン作品で重厚な演技を披露してきたマックス・フォン・シドー、悪魔に取り憑かれる難役を見事に演じ切った『エクソシスト2』(77)、『スクリーム』(96)のリンダ・ブレアである。
尚オリジナル版は、74年度アカデミー賞の最優秀脚色賞・録音賞、74年度ゴールデングローブ最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚色賞・最優秀助演女優賞(リンダ・ブレア)を受賞している。
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