「千と千尋の神隠し」完成報告記者会見 (1)
(司会者)
思い起こせば1997年、日本映画興行最高記録を打ちたてた「もののけ姫」から早4年です。
宮崎駿監督は10歳の少女を主人公に、又、新たなるエンターテイメントを作り出しました。一部には「製作が遅れている」とか、「間に合わないんじゃないか」といったニュースが流れまして、皆様にはご迷惑をおかけしましたが、この度、晴れてめでたく作品完成を迎えまして、いよいよ来週7月20日より全国公開されることになりました。
では、早速ですが宮崎駿監督、声の出演者の柊瑠美さん、菅原文太さん、音楽の久石譲さん、主題歌の木村弓さんにご登場いただき、会見を始めさせていただきたいと思います。
(出演者登場)
(司会者)
それでは、早速ではありますがお一人づつ、順にご挨拶を頂戴したいと思います。
「千と千尋の神隠し」監督・脚本の宮崎駿さんです。よろしくお願いします。
(宮崎駿監督)
4年ほど前に引退すると言った人間がまた出てきまして・・・
今度の映画はちょうど10歳の女の子たちの心のリアリティーをたどって描いたもので、ほとんどその一人の子をずっと追うというのは、映画の存在としてはとても不思議な立場として作った映画なのですが・・・ 「映画だから上手くいくんだ」じゃなくて、「こういうことができますよ」という映画を作りたいと思います。そういう意味では嘘はつかなかったつもりなんです。
その為にむしろ大人たちの方が途方にくれる部分があるんじゃないかと思いながら映画を作り終えました。
スケジュールがもの凄く伸びまして、間に合うか間に合わないかで、ぎりぎりの瀬戸際まで大騒ぎをして、ようやく間に合ったわけですが、全員スタッフがボロボロになってやりながら、こっそりとこの映画を作って正解だなと思った映画です。
(司会者)
続きまして不思議の街に入り込んでしまう10歳の少女、千尋を演じました柊瑠美さんです。
(柊瑠美)
千尋役の声をさせていただいた柊瑠美です。よろしくお願いします。
(司会者)
何かこの作品を通して感じたことを一言。
(柊瑠美)
最初は声だけでやるのは難しかったのですけど、宮崎監督やスタッフの方がやさしく教えてくれて、何とか最後は緊張せずに楽しんでできました。
(司会者)
湯屋の地下にありますボイラー室を切り盛りします六本腕の老人、釜爺の声の出演の菅原文太さんです。
(菅原文太)
劇映画に初めて出たのがちょうど45年前でした。
今回、初めてアニメーションに、宮崎さんの映画に声で出演することになりまして、やってくれって電話があった時にびっくりしたんですけど。
45年、ずっと映画ばっかりやってきたからどっちにしようかなと迷って宮崎さんに話したら、「そのままでいいですよ」というので、声も地でやらせてもらいました。45年前も、大分ドキドキがあったんですが、今回の初めても、隣で一緒にやってた千尋くんが私より上手いものだから・・・(会場笑い) なおさらドキドキして、でも、新鮮で楽しい仕事でありました。
(司会者)
「風の谷のナウシカ」以来、宮崎作品の音楽全てをご担当しておられます久石譲さんです。
(久石譲)
先ほど宮崎さんからスタッフの中で10才の少女の気持ちに非常に戸惑っているとありましたけど、一番戸惑いながら音楽を作りました久石です。
今までのどの作品と比べてもとても難しかった作品です。でも、すごくパワフルな、とても説得力があって、それが10才の少女の心情のようなものがすごくよく出てて、さすが世界の宮崎さんなんだなと実感した次第です。
こういう仕事をしてきて、出させていただいた事を心から感謝しております。ありがとうございます。
(司会者)
ライアー(竪琴)を奏で、独自のスタイルで弾き語りを続け、この映画では自ら作曲した主題歌「いつも何度でも」を歌っておられます、木村弓さんです。
(木村弓)
主題歌を歌わせていただきました木村弓です。三年程前に、私も宮崎さんの作品に歌で参加したいという強い思いが出てきまして、それ以来の夢でしたので、今回このように夢が叶って本当に嬉しく思っています。ありがとうございます。
|