(司会者)
現地に行かれた鈴木敏夫プロデューサーから報告をお願いします。
(鈴木敏夫プロデューサー)
僕とアルパートさんが現地の方に参りましたので、僕は向うへ行ったのはたった三日間だったんですけど、実はこういった共同記者会見、公式上映の二つだけが仕事だということだったので、たとえ三日とはいえ暇だろうなと思っていたらそれが大間違い。向うに行ってみたらとにかく朝から晩まで取材だらけ。これは嬉しい悲鳴だったんですけど、そこで記者の方たちの実はいろんな方にお目にかかって色んな話しをさせていただいたんですけど、そこでの共通する質問って言うのがいくつかあります。
「ライブ・アクションとアニメーション映画、その両方を問わずにファンタジー映画というのもが世界の映画の一つの大きな長流となりつつあるということについて、あなたはどう思うか」。そんな話を色々質問を受ける中で、僕は「そうか、そういう状況になっているんだな」ということに改めて教えられたような次第です。
もう一つ、それは僕にとって非常に嬉しかったんですけど、「カオナシ」についてのご質問というのが、記者の方について聞くというより、みなさんがどれだけ「カオナシ」について深い理解を示しているかを僕に説明してくれるような取材が非常に多かったことです。
僕はヨーロッパに行く前にアメリカに行きまして、実はアメリカでこの映画「非常に日本的である。なおかつ、後半は難解である。」ということを聞かされていたものですから、ヨーロッパの方の「カオナシ」に対する深い理解は非常に嬉しかったです。
中でも印象的なご意見としてね、「最後にカオナシがああやって銭婆のところにおかれることになって私はホッとしたんだ」なんていう記者の方もいらっしゃいましたけど、僕が思ったのは「僕が作ったものはヨーロッパではこうやって理解されるのか」と、それが嬉しかったのをとても印象深く覚えております。
それと、事務総局長とお目にかかったときもございまして、僕は気になったんですね、なぜ、世界の三大映画祭(カンヌ、ベネチア、ベルリン)というのに、今までアニメーションは扱ってもらわなかったのに今回はどうして扱ったのかと質問した時に、その事務総局長さんは「お前は何を言ってるんだ。アメリカのアカデミー賞もアニメーション部門を作ったんだ」と言われました。なおかつ、去年カンヌ映画のコンペティション部門で「シュレック」というのを取り上げたらしんですね。僕はそのことは良く知らなかったんですけど。その二つを踏まえたところで、その事務総局長さんが言うのには「我々も世界の中の映画の中で長流に対して少しでも何かできないかと考えた。だから今回『千と千尋の神隠し』を取り上げるのは、そういう一つの流れの中で我々としては真剣に取り組みたいんだ。」と。
そういうことで言えば僕はたった三日間とはいえ、向うで色々な取材を受ける中で、本当にヨーロッパの人たちがこの映画をどう見てくれたのか、本当に様々な国の方がいらっしゃいました。スウェーデン、スイスだの。その感じだと、色々な記者の方から大きな賞の有力候補の一つだと聞かされておりましたので、僕らの映画がそれほどに理解されて、この賞を受けたことに関しては僕自身本当に嬉しく思っていますので、みなさんにご報告したいところであります。
僕の報告としてはそれくらいです。
(司会者)
続きまして実際の受賞式の方に行ってまいりました、スタジオジブリ海外事業局長のスティーブン・アルパートの方からご挨拶とご報告です。
(スティーブン・アルパート)
別にコメントの準備はしてないんですけど・・・ ですけどやっぱり面白くて凄かったですね。
初めてアニメーション映画がこの映画賞の金熊賞を取ったのは本当に凄いなと思います。
舞台挨拶の後でコンペオ・パーティみたいのがあって、そこでその審査員の人に話をしようとしたんですけど、映画祭の人に注意されたのは、規則としては審査員は何でその映画を選んだということは話が出来ない。でも挨拶したかったから、その人たちと挨拶をして、審査員の人たちと委員会の人と話しまして、みんなから同じようなことを言われました。
審査員としては毎日映画を少なくとも二本か三本を見なくてはならない。「千と千尋の神隠し」は土曜日の夜10時半の上映でした。みんないつもは三本目で夜遅くて大変だと思っているところで、始まったところで急に目が覚めて、生き生きした色とか力のある動作とか、内容のエンターテイメントと自分へのチャレンジが素晴らしいものだと思って、見てからすぐ、「これは金熊賞だ」と思ったと、四人くらいの人に同じようなことを言われました。
自分としてはスタジオジブリの一員として素晴らしい経験でした。
(司会者)
ありがとうございました。
では続きまして宮崎監督の方からお願いします。
(宮崎駿監督)
この前の時もお話したんですけど、自分たちが映画を作った矢先にはこういうことは夢にも思っていなかったので、今年は色々いただきまいて。盆と正月とクリスマスが一緒に来たような・・・。
ただ、現場はお客さんに見てもらった瞬間に充分迎えたので、まぁ40代でもらえばまだこれから役立つけど、この年になってもらっても知らん顔してようと思ったんです(笑)以上です。
(会場)笑い
(質問1)
日本的な部分が強い映画だとおっしゃっていましたが、今回ヨーロッパで賞をもらい、その部分についてどのように考えていらっしゃいますか?
(宮崎駿監督)
僕は日本的なものを作ろうと思って作ったわけではありません。自分の周りにいる子どもたちに伝えたい思いで作ったんです。ですから、「私たちはこの話は理解できない」とか、映画というエンターテイメントという枠に縛られている人がもの凄く多いんです。作っている人間も見る側も。それは実は日本にも沢山あることなんです。
実は自分たちが映画を作りながらそのエンターテイメントの常識みたいなものをどうやってくぐりぬけて、初めから常識を無視した作品は一杯あるわけですけれども、それは私たちのスタジオジブリでは役に立たないことですからお客さんにも理解してもらって、なおかつ固定観念化している作品は笑わせなくてはいけないとか、音楽は鳴り続けなくてはいけないとか、そういうくだらない考え方を何とかして超えていかなくてはいけないという課題を自分たちは背負っていました。
それは、僕らは自分の作品をどう思われるかは最大の関心ですから、実はヨーロッパ、アメリカ、その他の国でも韓国とか台湾とか香港とかは、喜んでもらえたらボーナスが来たようなもんだとしか思わないでやってきましたから、こういうことになって・・・ あーそうですかっていう・・・
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