| ブレット・ラトナー 監督は会場に登場するなり、カメラに向かって武術の型を披露(写真左)。
武術では黒帯の資格を持ち、日本の相撲も大好きで、今回の来日では相撲の視察も行ったとのこと。「ラッシュアワー3」の舞台が日本になれば、是非、相撲のシーンを撮りたいという発言も飛び出した。
(質問1)
「ラッシュアワー2」は前作をはるかに越える大ヒットをしていますがどうしてだと思いますか?
(ブレット・ラトナー 監督 )
まず、一番のヒットの理由はやはり、ジャッキー・チェンとクリス・タッカーの二人のコンビネーションだと思います。前作も、もちろん素晴らしかったのですが、さらにこの二人の関係が良くなっていて、面白くなっています。そして、第一作目があれだけ成功しましたので、予算が増えたというのもあります。実際には予算が三倍に膨れました。
一作目は三千二百万ドルで作ったのですが、今回は一億ドルかけて作ってます。そのお金で、セットも大きく作れ、ロケ地も色々なところを行けました。また、アクションを撮るには日数が必要ですが、今回は日数もかけることができました。ですから、アクションにしてもコメディにしても全てパワーアップしているということが言えると思います。
(質問2)
前作の「ラッシュアワー」を作ったときに「ラッシュアワー2」の構想はもう出来上がっていたのですか?
(ブレット・ラトナー 監督 )
一作目を撮っているときに、二作目がもし出来たらいいなという気持ちでいました。ですから、一作目のエンディングとしては、ジャッキー・チェンとクリス・タッカーが飛行機に乗って香港へ向かっていましたよね。
もし、一作目が成功したら、無事、香港に着陸するという設定にして、もし、大変な失敗作で当たらなかったら飛行機は、事故か何かで二人は亡くなったことにしようと言っていたくらいです。
今回の作品の終わり方も、やっぱりニューヨークに向かっている設定ですので、この作品が成功すれば、また「ラッシュ・アワー3」ということに繋がっていくと思います。
(質問3)
今回の舞台が香港とラスベガス、ロサンゼルスとなっていますが、その土地を選んだ理由を教えてください。
(ブレット・ラトナー 監督 )
香港を選らんのは、まずは、前作の終わりで香港行きの飛行機に乗っていたからというのもあるのですが、前作の時にプレミアで香港に行きました。クリス・タッカーと私が一緒にいると、町を歩いていてもクリスはとても目立ちます。黒人ですし、背もとても高いですから。そして、彼がいると周りの中国人が「彼はクレイジーじゃないか?」というようなことを言います。そのシチュエーションの面白さというのがありました。
あと、一緒にカラオケ・バーに行ったときに、クリスはマイケルジャクソンの歌を好んで歌うのですが、歌い出すと非常に香港の人たちにとってカラオケが真面目なものなので、クリスに腹を立てて他のお客さんがお店を出て行ってしまったりというハプニングがありました。それで、これは是非とも香港で撮影をしたいと思いました。
(質問4)
香港での撮影時に何か面白いエピソードはありましたか?
(ブレット・ラトナー 監督 )
裸で二人が高速道路を走るというシーンは、高速道路での撮影の許可が下りなかったので、政府にも警察にも内緒で、非常に遠いところにカメラを設置して撮ったのですが、最初のテイクの時に二人がブレーキをかけて裸で飛び出してきたら、他の車の中から「ジャッキー、サインして!」って声をかけてきて、それでNGになってしまいました。ジャッキーは洋服を着ていても目立つのに、裸だったのと、NGを出してからジャッキーはもうあのシーンは二度と撮りたくないと言ったのですが、私が涙を流しながら頼み込んでもう一度撮りました。(会場笑い)
(質問5)
この映画の中には中国の俳優が何人か出てきますが、どうやってコミュニケーションをとりましたか?また、香港での撮影に際して中国語は少し覚えましたか?
(ブレット・ラトナー 監督 )
言葉の問題は、ジャッキーもジョン・ローンも英語を話してくれました。チャン・ツィイーさんだけは通訳を通して指導したのですが、やはり数ヶ月かけて、撮影中に言葉は通じなくても何を要求しているかが彼女は勘で分かるようになりました。また、時々ジャッキーが中国語で私に話してしまうと、彼の話し方やジェスチャー、顔の表情から何を言おうとしているのかは理解できるものです。やはり、お互いに何度も仕事をしていたり、何ヶ月も仕事をしているとツーカーで分かる関係になります。
ジャッキー・チェンのコメディースタイルはチャップリンのような無声映画に影響を受けていますので肉体を使った自然なユーモアがあります。だからこれは世界中のどこにでも通用するものですし、言葉は要らないものだと思います。ですから、このラッシュアワーのヒットもそういう要因によると思います。
スペインでもアメリカでも日本でもヒットしたのは、そういう誰にでも分かるユーモアが含まれていたからだと思います。ジャッキーとクリスというのは、二人はお互い、何を言っているのか本当には理解していないんです。それで、仲が良いのだと思います。二人は余りにも違うので立っているだけでも面白さがあると思います。
(質問6)
映画監督として「天使のくれた時間」「レッド・ドラゴン」のようなドラマを演出するのと、コメディを演出するのとで、一番違う点はどこでしょうか?
(ブレット・ラトナー 監督 )
私は色んなジャンルの映画をこれからも監督していきたいと思っているのですが、一番難しい映画はコメディだと思います。観客を驚かしたり、怖がらせたり、悲しませたりするのは比較的楽です。笑わせるのは一番難しいと思います。特に、それがアクション・コメディの場合は、バランスを保つのがとても大変です。
コメディの要素が大きすぎると馬鹿げだ映画になってしまう恐れがありますし、アクションが大きすぎると今度は女性客を失うという危険性があります。
それと、素晴らしい悪役がいると上手くいくという、ジェームス・ポンドの方程式に則っているのですが、悪役が本当に怖いと、それに対してコメディアクターも反応が楽です。
ですから、今回はチャン・ツィイーとジョン・ローンという、本当に素晴らしい悪役を得たことでこの映画は成功したのだと思います。
特にチャン・ツィイーの役割というのは、とにかく美しい方なのでクリス・タッカーはデートをしたくて仕方がない、彼女の方はただただ彼を殺したがるという面白い二人の関係が出たと思います。
|